MESSAGE

建学の精神和と善Pax et Bonum
さまざまな美しい音色が
調和するように

仁川学院教育の心

 教育とは、「人格を磨くこと」です。教育基本法第一条に[教育の目的]として教育は「人格の完成を目指す」と規定されています。「人格」の語は、「ペルソナperson」の日本語訳です。教育の目的を法律で定めているのは、世界中で日本国だけであることは注目にあたいします。
 特に宗教を基盤として教育する私立学校においては、神仏を完全なペルソナとして理解し、人にとって一生涯をかけて神仏に限りなく近づくことが人生の目的であると教えることができます。私学人であるわたしたちは、そのために人間が、神仏の似姿としてペルソナ(=知性と自由意思をそなえた独立した存在) であるということの理解を深めるよう常に配慮しなければならないと考えます。またすべての人が、自己努力によって生涯をとおして人格の完成に向かうように教え、励ますことが重要であると確信します。
 アッシジのフランシスコの、『兄弟太陽の賛歌』に示されている神体験も、道元禅師の『正法眼蔵』に説く悟りも、すべての人に神から天地万物をそれぞれの受容力に応じて恵みとして与えられたものであることの自覚が見られます。 さらに、大切なことは、それら「あらゆる恵みの善き管理者として、すべての人と天地万物に奉仕すること」に人の生きる意味があり喜びがあることです。「あなた方は、それぞれ[神からの]賜物を受けているのですから、 神のいろいろな恵みの善い管理者として、それをお互いのために役立てなさい。」(1ペトロ4・10)。「何よりもまず、互いに心をつくして愛しあいなさい。」(1ペトロ4・8) これを是非、学校で教え、 また学ぶ者たちの意識の奥深くに植え付け、恵みを受け入れる能力を鍛え、広げ、強力にし、さらに社会人に成長してからも、常に神仏からいただく恵みを受け入れ、それを正しく管理する能力を生涯自発的に鍛錬しつづけ、 「お互いに助け合う」徳性をもつ人に育つように仁川学院は教育したいのです。

日本の教育基本法は、「教育は人格の完成を目指す」と規定することによって、キリストの『あなたたちの天の父が完全であるように、あなたたちも完全でありなさい』 という言葉を実現することを国民の理想として定めていることをここに改めて指摘します。そのような心で皆一緒に人生を歩きましょう。

学院長 永尾 稔 神父