フィレンツェ2日目。生徒たちは住人のような見事さで街中を進みます。黄信号の長さ、歩道に乗り上げる縦列駐車の車、突進してくる自転車、ワンコの「落とし物」、雨樋から滝のように落ちる雨水……それらすべてを巧みにさばきながらスタスタと歩く姿は、イタリア初日のものとは別人級です。
さて、そうして到着したのはウフィッツィ美術館です。ほとんど貸し切りのような館内を、ガイドさんの案内に学びながら鑑賞します。数々の傑作アートに加え、メディチ家の盛衰やフィレンツェの街の歴史もまたたいへん興味深く、生徒たちはそれぞれの関心にしたがって熱心に見入っていました。カラヴァッジョ派の女性画家、アルテミジア・ジェンティレスキの前では、「女の人の画家って新鮮かも」の声があがるなどし、こうしたさまざまな気づきこそが、ウフィッツィをより深く印象づけたことと思います。
この後はサンタ・クローチェ教会へ。別名「栄光のパンテオン」ともいわれるこの教会で、ガリレオ・ガリレイ、マキャベリ、ミケランジェロなど、イタリアが生んだ偉人のお墓を巡ります。ローマで拝観した聖堂の絢爛豪華は圧倒的でしたが、ここサンタ・クローチェのもつ質朴な美しさにもまた、生徒たちは心惹かれた様子でした。
とは言え!!美術館や教会が続き、実はそろそろ元気に弾けたいところだったようです。フィレンツェの街並みを見晴らすミケランジェロ広場では写真撮影を楽しみ、またスーパーマーケットでは、日本とは少し異なるセンスの食品や日用品など、さまざまな買い物を存分に楽しみました。
ここまで進むと、アッシジまであと少しです。
夕食を終え到着したのは19時、外はすでに真っ暗です。ライトアップされた美しい街並が生徒たちを迎え入れてくれました。
毎年12月25日は、ローマ教皇が全世界に向けクリスマスメッセージをお送りになる日です。そのあとに放送されるクリスマスコンサートは、毎年この聖フランシスコ大聖堂にて録画されるそうなのですが、私たちは、このリハーサルを見学する幸運に恵まれました。聖堂で静かに音楽を聴く気持ちよさに皆で浸れたことは、きっと忘れられない思い出です。
この研修旅行の目的は、アッシジの聖フランシスコ大聖堂でのベネディクションにあります。コンベンツァル修道会のホワイ神父様(ホワイ神父様は7年前まで日本にいらした神父様です)が、私たちのために特別に大聖堂をガイドし、お話をしてくださいました。
「『与える(あたえる)』ということと『与る(あずかる)』ということに、同じ字があてられていることに、私は感激します。『自分にあるものをあたえる』ことと、『神のわざにあずかる』こととは、同じことなのです。」
「神は人間を完全なものに作ることもできたが、そうはなさらなかった。実際、私たちは誰もが皆欠点だらけです。お互いがあたえあい生きていくようにお作りになられたのです。」
「みなさんもそのように生きてください。」
そして最後に、永尾校長が私たち仁川学院高校61期生みんなを祝福してくださいました。このベネディクションが、いつか未来の彼らにとって励ましとなりますように。みんなの歌声を聴きながら、そのように願いました。旅程中最も密度の高い一日はこうして終わりました。明日はアッシジ2日目です。自由研修の時間もありますから、しっかり学び、楽しむ一日となりますように。