野上日記
秋の蟲
こんにちは、Y館長です。
これは、以前のブログに掲載した記念館玄関脇の様子です。
ちょっとお洒落なガーデンチェアと白壁を伝うグリーンの対比が素敵でしょ?
あれれ・・・!
こちらは今週始めの同じ場所・・・・
あの、アオアオとした葉っぱが・・・・蔓のみが儚げに壁にしがみついています。
その数日前・・・・
いも虫! こっちにも、あっちにも、あんなとこにも、こんなとこにも、そこにも、あそこにも・・・・
Yが暮らす大阪の中之島界隈では、例えば裁判所敷地の植え込みの根本や中之島公園の芝生のなかでコオロギやスズムシが秋の音(ね)を奏で始めていますが、ここ記念館では、いも虫の大量生育中・・・・
それに気がつく直接のきっかけは
ガーデンチェアの足元に散らばる大量の黒い点々、いも虫の糞でありました!
で、見上げた先に数十匹の「むし」たち・・・最初は?ということで、間近に目を近づけてひぇ~と正直、怖気づく・・・
けど、しばらくじっと見ていると、何やら可愛らしく見えてくるからひとの感覚というものはオソロシイ・・・?いや、オモシロイ・・・
平安時代後期の物語集「堤中納言物語」のなかでも最もポピュラーなものは「虫めづる姫君」の物語であろうと思いますが、その冒頭で姫が語る
「人々の、花、蝶やとめづるこそ、はかなくあやしけれ 人は、まことあり、本地たづねたるこそ、心ばへをかしけれ」や
「烏毛虫の、心深きさましたるこそ心にくけれ」
が実感として首肯できるのです。(ちなみに、この姫、風の谷のナウシカに描かれたナウシカのモデルであるとか)
それにしても、このいも虫たちの食欲の旺盛さは想像を絶します。
あれだけ盛っていた大きな葉っぱが三日ばかりで、丸坊主。
丸坊主の蔓だけの惨めな姿に成り果てた後、さて彼ら(彼女ら)の、その後の食糧事情は如何相成るものかと人ごとながら(?)多きに心配をしていたのですが、その翌朝・・・一匹残らず何処かへ煙のごとく消え去っておりました・・・
どこかで華麗に変身を遂げ優雅な舞で魅せる蝶の群れを想像しつつ、Yもひとときの夢想に遊ばせてもらいました・・・
ところで、昨日は九月九日、旧暦になぞらえれば重陽の節句、そして暮れ果てた天空では煌々としたスーパームーン・・・
一昨夜は中秋(旧暦八月十五日)・・・
Yの住まいから見上げる今年の名月・・・
名月や浪速に住んで橋多し 漱石