野上日記

風の匂い

こんにちは、Y館長です。

 

今朝から、風の匂いがかわりましたね・・・秋の気配をいっぱいに孕んだ風が、ここ野上でも吹き渡っています。
 
サロンもアトリエも、窓を開け放って、気持ちのいい一日のスタートです。
 
オープン以来、まもなく三ヶ月を迎えようとしていますが、開館当初の閑古鳥状態から比べれば、訪問者も徐々に増えてきました。
それでもまだまだちらほら状態ですが、不便な立地にも拘わらず足を運んでくださる皆さんには感謝の気持ちでいっぱいになると同時に、藤飯治平先生の生前のご活躍が偲ばれて、こちらの気持ちもほんのりしてきます。
 
ご近所の方や仁川学院在校生の保護者の方、先生と同窓の方、あるいは通りすがりの方と、様々な方々が訪問されますが、先日は、藤飯夫妻に、この野上のアトリエで絵を習っておられたという女性が訪ねてくれました。ご近所まで来られたので、昔懐かしさに藤飯邸の前まで歩いてみると、記念館の看板が出ていてびっくりしたと仰って・・・
 
お聞きすると、小さい頃は「おんな先生」(藤飯夫人のことをこう呼んでいたのだそうです)に習い、大きくなって「おとこ先生」(もちろん藤飯画伯のことです)に習っていたとか・・・
 
その後、その方はイタリアに留学されて現地のイタリア人と結婚をされたのですが、そのイタリアでの結婚式(たしかパルマと仰ったか、いずれにしても北よりの街とお聞きしたように思うのですが)に藤飯先生ご夫妻をご招待されたそうです。
 
そうすると先生は、「家内と一緒に喜んで出席するよ」と心よく応じてくれたのだとか・・・
もちろん取材旅行も兼ねてのことだったでしょうが、ご夫妻の人柄を表すエピソードとして、Yは愉しくお話を聞かせていただきました。
 
生憎、それが何年の出来事であったのか聞き漏らしたのですが、いまサロンで鑑賞いただけるこの作品などは、そのときの印象から生まれたのかも知れませんね・・・
 
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(フィレンツェの屋根 1992年 油彩 F15号)
 
そんなことを思い巡らせながら眺めていると、こんな不粋なYでもそこはYなりに、何処からか私だけの「物語」が聞こえてきそうです・・・
 
いつどや、夏の名残の蚊遣りなんぞと書きましたが、豈図らんや名残どころか、いまだに現役バリバリで煙を吐いています。
 
これは、玄関先の三和土に置いたものですが、模様はススキでしょうか、いましばらくは助けてもらわなければならないようです。
 
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蚊遣火にやさしき人の面影や  清孝

 
 
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一夏、涼を届けてくれたゴーヤ簾も、この秋風にちょっぴり寂しそう・・・
 
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