野上日記
ステンドグラスとロザリオ
こんにちは、Y館長です。
師走も押し詰まって、主の降誕も間近となりましたが、このところの寒波も半端ないですね。それでもこの冷え込みが平年並みとか・・・そう、昔はもっと寒かったなぁ・・・
仁川学院藤飯治平記念館の玄関扉脇に、一枚の小さなステンドグラスがはめ込まれています。
Yは、これを初めて見たときから気になっていたのですが、同じような技法のステンドグラスを仁川学院内で目にすることができるのです。
仁川学院コルベ講堂の、正面入口の両脇に設えられたステンドグラス・・・
このコルベ講堂のステンドグラスは、ステンドグラス・アーティストとして著名な三浦啓子さんの作品です。
三浦先生は西宮市にアトリエを構えられてオリジナルの技法による壮大な作品を多くの建築物に提供されている環境アーティストでもあります。
その主だったところだけでも、サントリーホール、六本木ヒルズ、松下IMPビル、同志社大学、大手前女子大学、兵庫医科大学、東京国立博物館、神戸元町一番街アーチ、中山寺・・・と、とても書き切れないのですが、Yとしてはぜひ自慢?したいのがこちら!
仁川学院小学校内「聖母マリアのグロッタ」にある、ロザリオの祈りの神秘を建物全周に配した三浦先生の素晴らしい作品です。
ここに掲載したのは、お告げから奉献の部分ですが、このような形ですべてのシーンがグロッタ内を取り巻いています。
グロッタとはイタリア語で「洞窟」の意、学院創立50周年記念事業として仁川学院小学校舎を建て替えた際に、新たに設けました。
「無原罪の御宿り」と呼ばれる聖母マリアの恵みを、仁川学院に学ぶ児童が自然にこころの中に呼び込むことができるような、ある意味で仁川学院教育を表象する場所です。
このグロッタ、単なる箱型の建物ではなく、そうですね、丁度、卵を半分地下に埋めたような形を想像していただくのがわかりやすいでしょうか・・・
おまけに、地上に出ている上半分は芝の植えられた土で覆われ、外から見れば築山としか思えません。もちろん児童たちが自由に登って遊べます。
その内部の全周に設けた欄間(ちょっと呼称が和式すぎますがYにはそう表現する以外思いつかないものですから)に嵌められた三浦先生の「ロザリオの祈り」・・・そのすべては外部からの自然光(太陽光)だけで室内に浮かび上がるよう施工上の工夫がされています。
当時、担当者として建設に関わったYには、いっそう思い出の深い場所で、打ち合わせのために何度も三浦先生とお目にかかり、西宮市目神山のスタジオ(工房)で制作現場を拝見しと、当時の苦労や喜びともども昨日のことのようによみがえらせることができます・・・
といつもながらの感慨に耽るのはここまで。やっと冒頭の藤飯治平記念館のステンドグラスのお話ですが、これって、やっぱり三浦啓子さんのステンドグラスですよね?
ガラスの色合い、厚み、割り方、そして何より表現された花の優しさ・・・
先生のオリジナル技法の特徴であるガラスの接なぎ等々・・・
この記念館は、藤飯治平先生がこの地の古家を購入されて住まわれたとお聞きしています。もちろん先生ご夫妻が住まわれるにあたってリフォームや、アトリエの増築はされたのですが、さて、この玄関はどうだったのでしょうか?
藤飯先生と三浦先生とご親交があったのか、或いは前住者の方が三浦先生とご交流をお持ちだったのか・・
三浦先生とお目にかかる機会があれば、ぜひお尋ねしたいことですね。
さて、そのグロッタの主題となっている「ロザリオの祈り」ですが、カトリック教会で聖母マリアの祈り(アヴェ・マリア)を、福音書に記されたイエス様の神秘を想いながら唱えることであり、またその祈りのために用いる数珠のような用具のことでもあります。
アヴェ、マリア、恵みに満ちた方、
主はあなたとともにおられます。
あなたは女のうちで祝福され、
ご胎内の御子イエスも祝福されています。
神の母聖マリア、
わたしたち罪びとのために、
今も、死を迎える時も、お祈りください。
アーメン。
(ちなみに、Yはカトリック幼稚園出身ですが、当時は「 めでたしせいちょうみちみてるマリア」とお祈りしてました。)
これは、カトリック信徒であるA職員が、常に身近に持つロザリオ・・・ちょっと拝借して撮影させていただきました。
カトリック信徒ではないYが持つ仏教の数珠(真言宗の主珠108,親珠2、四天珠4ですが、ここらあたりお宗旨でいろいろ違いがあるそうですが))と、よく似ています。
数珠の親珠にあたる部分にはおメダイ、房と弟子珠にあたる部分には十字架のキリスト。
ロザリオと数珠・・・どこかで歴史の不思議な縁の重なる部分があるのかもしれませんね。
というところで、また来週!
あっ、来週はもう本年最後のご挨拶かも・・・風邪など召しませんよう、ご自愛のほど・・・