野上日記

新たなめぐりあい

こんにちは、Y館長です。
 
1月中旬以降、記念館の内外で藤飯治平先生の様々な「顔」に触れる時間や機会が多くありました。
 
 
そうそう、Yのご幼少の砌というか若かりし頃は「様々な顔」をテーマにした映画やドラマが目白押しでした。
 
映画で真っ先に思い出すのはやっぱり片岡千恵蔵演ずる「多羅尾伴内」シリーズでしょうか。
「あるときは私立探偵、あるときは片目の運転手、あるときは謎の手品師、またあるときは中国の大富豪、しかしてその実体は正義と真実のひと 藤村大造だ!」
 
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東映ビデオより
 
小林旭がリメイクしたり、テレビドラマになったり、Yよりもう少し若い世代には、昨年末に急逝した大滝詠一が別のイメージで見せるときの変名に使ったり・・・
 
先日は作詞家である川内康範の特集をテレビジョンで見ました。川内康範のキャリアの出発点は「月光仮面」の企画・原作・脚本・作詞であることは有名ですが、その後放映された「七色仮面」も川内氏の作品だそうです。
 
・・・ななつのかおのおじさんの、ほんとのかおはどれでしょう・・・・たちどころにYの脳内には七色仮面の主題歌が鳴り渡ります。あぁ、なつかし!
 
イタリアのマスカレードもそうですが、人のこころには変身願望というか、仮面願望が潜んでいて、ときにはそういう物語に仮託して、そんな欲求を発散しているのでしょうか・・・洋の東西を問わず、文学、音楽、映像といったジャンルを問わずいっぱいありますもんね。
 
あらら、閑話休題。藤飯治平先生のお話でした。
 
まずは、藤飯治平展を開催中のギャラリー プチフォルムでお目にかかった藤飯先生の従兄弟さんであるT氏ご夫妻。
T氏はその顎鬚を蓄えた風貌が藤飯先生を彷彿とさせ、先生若かりし頃のエピソードを聞かせていただきました。それによれば、何でも藤飯先生は魚の絵ばかり描かれていたとのことで・・・
 
魚の絵といえば、浅学なYには日本での西洋油絵の開拓者である高橋由一の、新巻鮭というか塩鮭を吊り下げて、半身を削いだり片身を削いだ絵ぐらいしか思い浮かびませんが、たしか東京芸大美術館で見た、片身を削がれた新巻鮭の大きさと迫力、その描写のリアルなことに仰天した覚えがあります。
 
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重文、東京芸術大学美術館蔵
 
藤飯センセの、「そのこころ」は、いまとなっては窺い知れませんが、ひょっとしたら由一に寄せる思いなどもあったのかもと想像を逞しくするのは鑑賞者の自由ですから・・・
 
ちなみにT氏に、先生の描かれた魚は美味(うま)そうでしたか?とお尋ねすると・・・不味(まず)かったとのお答えを返していくださいました!?
 
同じ時に、藤飯先生の古くからのお弟子さんというご婦人のYさんにもお目にかかることができ、今後もお弟子さんならではのあれこれをお聞かせ頂けるものと嬉しく思っています。
 
また先週は、藤飯先生の園田学園時代の教え子さんが、立て続けにお二人、記念館を訪ねてくださいました。
 
おひとり目はTさんとおっしゃるご婦人でした。聞けばご子息が東京芸大で芸術家を目指しておられるとか・・・これもまぁ隔世遺伝の一種(?)でしょうか。
 
おふたり目はH氏とおっしゃる物腰の柔らかい紳士・・・藤飯先生が園田学園小学校で教頭をされていて、英語と図工の授業を受け持たれていたことや、クラスのエピソードなどを楽しく聞かせてくださいました。
 
一昨日には、藤飯先生が額装を頼まれていた大阪の老舗額縁店のご主人Kさんが来てくださいました。
 
記念館の開館準備で、雑誌の整理をしているときに、藤飯先生とKさん、それにギャラリー プチフォルムの青柳社長が鼎談されている記事を見つけて、ぜひお目にかかれればと願っていたので、有難いことでした。
 
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記念館サロンに常設展示しているこの作品も、藤飯先生とKさんの素晴らしいコラボレーションの一例です。
 
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昨日は、逆瀬川駅アピアで開催されていた藤飯先生の絵画教室で習っておられた、こちらも紳士のMさん。千種にお住いで散歩の途中にたまたま通りがかったと・・・
 
サロンでは、うえに紹介したKさんの額縁に目を止められ、てっきりヨーロッパの素晴らしいアンティーク額に藤飯先生が触発されて相応しい絵を描いたものと思ったと、気に入ってくださいました。
 
 
というふうに、開館半年、足かけ二年目を迎えて、藤飯治平記念館はこれからも様々なかたがたと出逢い、多くの皆さんに支えられながらその歩みを続けていきたいと思います。
 
ぜひご来館くださいますよう、お待ちいたしております。