野上日記
春間近
こんにちは、Y館長です。
奈良東大寺の修二会も佳境のお水取り(お松明=おたいまつ)が始まり、春もすぐそこにの感が日々に深まります。
今日は、ここ野上も本降りの雨模様・・・
くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨の降る 子規
先の高等学校に続き、今週は仁川学院の卒業ウイーク。
月曜日の仁川学院小学校、今日は生憎の雨ですが、仁川学院マリアの園幼稚園の卒園式。そして明日は仁川学院中学校・・・
送る春、様々な想いや感慨の交差点・・・願わくはすべての子らに幸多かれと祈りつつ、そしていざ、迎える春へ。
昨日は、神戸市灘区のとある施設へとおじゃまをさせていただきました。
用向きは、藤飯治平先生の回顧展開催に向けた第一歩・・・
遠くない時期に、その内容をお伝えできると思うのですが、2016年秋に、藤飯治平先生の画業の全貌をご紹介できる展覧会の開催を予定しています。
2016年は、藤飯治平先生の没後10年を過ぎ、学校法人仁川学院も創立60周年の節目を迎える年に当たります。
多くの皆さまに藤飯治平先生の真髄をお伝えできる催しにしたいと志は高く掲げておりますので楽しみにお待ちください。
また、その準備にあたっては藤飯治平先生に所縁(ゆかり)の多くの方々にご協力をいただくことと思いますが、その節は是非よろしくお願いします。
ところで藤飯治平記念館には、先生の蔵書も多く残されています。
先日、そんな先生の蔵書から、こんな本を手に取りました。
ルネサンスのフィレンツェで、ときのトスカーナ大公メディチ家のコジモ一世に仕えた宮廷画家ポントルモが残した自筆の日記です。
この日記、たとえば政治や美術や、世相のあれこれを伝えようとする意志は皆無で、ただただ、ひたすら毎日の食事の内容と周囲の人へのつぶやきにも似た愚痴とか、まあ、そんなことだけを綴った、元祖ツイッターのようなもの・・・
少し前に(いや、もうずいぶん前かな?)話題になった「武士の家計簿」のイタリア版とでもいいましょうか・・・ちょっと違うか?な
それでもこれが無類に面白くて、中に頻繁に登場する料理があるのですが、名づけて「卵の魚」・・・
魚の卵、であればたらこやいくら、数の子キャビアにからすみといくらでも思い浮かびますが、こちらは「卵の魚」。
これなんやと思えば、オムレツのこと。
いやぁ、云われてみれば、あの流線型の菱型(?)って、まさにお魚の形ですよね。
16世紀のフィレンツェでは、このオムレツが三日に一度は食卓を賑わせていたようです。
で? いえ、この話はこれだけのことで・・・また来週!
もも草の萌えいづる庭のかたはらの松の木陰に菜の花咲きぬ 子規
けど、この菜の花、「卵の魚」の付け合せに美味そう・・・
※短歌はいずれも子規の「庭前即景」十首から