野上日記

治平さんと月やん・・・南からの便り

こんにちは、Y館長です。
 
学校法人仁川学院が藤飯治平記念館の運営に携わるきっかけに思いを巡らせると、その端緒は藤飯治平夫人であった月美さんの故郷である南紀へとつながります。
 
そこから記念館開設につながる一連の物語は、ひとの縁(えにし)の不思議さを目の当たりにしてくれるのですが、つい昨日のこと、その縁に、また新たな一頁を付け加える嬉しい機会(出来事)がありました。
 
藤飯治平記念館の郵便受けに配達された一通の、少し大振りな封筒・・・
 
Yにはその瞬間、裏を返して差出人を確かめるまでもなく、というより確かめたとしても知らないお名前が書かれているに違いないのです、それでも「誰」から届いた手紙かには、はっきっりとした予感がありました。
 
封を切る手ももどかしく、開けた封筒からこぼれる一枚の写真・・・
 
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つづいて、四枚の便箋に綴られた、藤飯治平夫妻のことや、この写真にまつわるあれこれ・・・
 
写真に写っているのは、若かりし頃、おそらく半世紀前に撮られたであろう藤飯治平夫妻。撮影場所は、今はなくなってしまった宝塚ファミリーランドとか・・・
 
手紙を寄せてくださった主は、月美夫人の母方の故郷である和歌山県串本町に暮らしていて、月美夫人をおばさんと慕う親戚の女性です。
 
先日のことですが、藤飯治平先生の資料のことで、ネット上を検索しているうちに、この女性・・・Y・Sさんのブログと出会いました。
 
そこに綴られた野上四丁目の思い出・・・
 
Yが拙い筆であれこれ書き連ねるより、Y・Sさんの想いあふれる文章をブログから引用させていただこうと思います。
 
 
宝塚市野上通り4丁目
 
大阪梅田から 阪急電車に乗って 西宮北口で乗り換え
逆瀬川という駅で降りて 坂道をどんどん上って行くと
おばさんの家があった。
夏休みになると 妹と二人で電車に乗って遊びに行った。
記憶では 小学校5年生頃から中学3年までは 毎年
一週間から十日位滞在していた。
楽しみは 勿論「宝塚歌劇」である。その頃は「那智わたる」
「上月のぼる」が スターだった。
歌劇は その5年間は熱心に見たけれど 高校生になって
クラブ活動が忙しくなってからは 遠のいてしまった。
 
田舎娘にとって、夏休みの宝塚での生活は カルチャーショックの
連続だったような気がする。
おじさんは 絵描きさんだったので いつもアトリエで絵を描いていた。
生活は 洋風でハイカラだった。
おばさんは 父の従姉妹で、私は親戚の中で宝塚のおばさんが一番
好きだった。自分の意見をはっきりと言い、真っ直ぐ立って揺るがない
人だ、と思った。いつも わたしの憧れだった。
 
大人になって 色んなことに遭遇すると おばさんならどうするだろう
と思った。私は いくじなしで失敗ばかりしていた。
逢いたい、と思いながら 逢えない日々が続いて とうとう逢えないまま
一昨年、おばさんは亡くなった。おじさんも後を追うように昨年亡くなった。
もう 野上通り4丁目のあの家には 誰もいない。
それでも いつかまた坂道を歩いて上って 訪ねてみたいと思っている。
懐かしいおばさんのことを思いながら 歩いてみたい。 
 
 
以上が2007年7月28日とスタンプされたブログ記事・・・
 
Yは夢中でコメント欄に、「あなたの懐かしい野上通り四丁目のあの家」は今もあなたが訪れてくれる日を待ってますよ、というようなことを書き残したのですが、ただ、ブログの最新記事(今年の4月4日に書かれたもの)によれば、その日を最後にブログを閉じるのだと書かれていました。
 
なんとかこのコメントを読んで欲しいと祈る気持ちでいたところに届いた手紙だったのです。
 
お手紙を読んでわかったのですが、実は別の機会(他のご親戚の元へプチフォルムから届いた藤飯治平展の案内)を通じて藤飯治平記念館のことを知っておられたそうで、このホームページもご覧になっていてくださったとのこと・・・
 
お手紙には、藤飯夫妻への真情と記念館の開館をこころから喜んでくださるお気持ちが溢れていて、Yも何故かしら旧知の懐かしい方からの手紙を読むこころもちで、感動とともに読ませていただきました。
 
Y・Sさん、ほんとにありがとうございました。
 
いつの日か、ぜひ、懐かしい坂道を上って「この家」を訪ねてくださることを願っています。いえ、いつの日かなどと云わず、その機会が少しで早く訪れてくれることを願っています。そして、「治平さんと月やん」のたくさんのことを聴かせてください・・・
 
 
こういう出会いというか縁、いやぁ、館長冥利に尽きますね。これからも様々な藤飯治平を取り巻く方々との頁が増えますように・・・
 
 
さて、来週はもう黄金週間の真っ只中! ここ野上ではカレンダー通りのスケジュール(4/27、4/29、5/3~5/6は休館)で皆さんをお待ちしています。
 
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では、また黄金週間明けにお目にかかりましょう。よいときをお過ごしください。
 
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