今朝も曇り空ですが、例年より暖かい1日の始まりです。
8:00過ぎに出発し、東京電力 新福島変電所へ向かいました。そこで東京電力の社員の方から福島第一原発の廃炉状況や福島復興本社の復興に向けた取り組みについて説明を受けました。
そこから、2018年11月に開館した東京電力「廃炉資料館」へ移動し、原発事故当時の状況、事故の教訓や廃炉の進捗状況など動画などで学びました。また、防護マスクの試着体験ができ、生徒たちは昨日の吉川さんの講話で30分着けていたら吐きそうになる程苦しいと表現されていたマスクを体感していました。
次は、同じ富岡町の「夜の森地区」でフィールドパートナーの常世田さんの案内でフィールドワークを行いました。同じ町なのに、道路1本を挟んで帰還困難区域と避難解除区域に分かれる地域を実際に歩きながら、自分だったらどちら側に家がある方が良いのか?と複雑な課題がからみあう問題を考え、お互いに意見を交わしていました。
そして、同じ町内にある、福島第一原発事故後、福島県が推進している再生可能エネルギー開発の一つである富岡復興メガソーラー・SAKURAを訪れました。40ヘクタールの広い土地に約11万枚の太陽光パネルが広がる景色に圧倒されました。
東電の社員寮に併設された大熊食堂で昼食を摂ったのち、国道6号線を通過して、浪江町へと入りました。国道6号線は福島第一原発の最寄りの国道で、未だに国道の両側が帰還困難区域である地域もあります。道の両側にバリケードが作られた異様な光景を生徒たちは車内から眺めて、午前中の学びと結びつけていました。
浪江町では、まずNPO法人「Jin」 代表 川村 博さんの講話をうかがいました。震災前は同町で福祉事業所を運営をされていた川村さんの被災時の体験談から、浪江町に若者を呼び戻し、高齢者が豊かに生きる町にしたいとトルコキキョウの栽培を始められた経緯を話していただきました。「まず、若者は汗を流して働きなさい。その先に地域貢献や社会貢献が見えてくる。」と生徒たちにメッセージをいただきました。
そのまま、少し移動して、一般社団法人 まちづくりなみえ 星 東さんの案内でJR浪江駅周辺など浪江町のフィールドワークをしました。津波の被害を受け、開けた平地に今も8年前の状態そのままの請戸小学校の様子や、震災当日、請戸小学校の児童たちが避難した大平山霊園の高台からの景色を眺め、生徒たちは、震災当時の様子を想像し、思いを馳せていました。
本日の宿は、南相馬市小高地区の「双葉屋旅館」。こちらは、2016年7月避難指示が解除されてすぐに旅館を再開されただけでなく、小高地区を元気にする為、さまざまな活動をされているお宿です。
宿では、本日最後の研修、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター特任教授・天野和彦さんによる避難所運営シミュレーション教材「さすけなぶる」を使用したワークショップです。東日本大震災で、パレットふくしまにて3000人を抱える避難所の運営を担当された経験を、「人権の視点で復興をとらえ直す」、「心の復興」、「避難所の使命」、「交流と自治」といったキーワードで語っていただきました。また、そこから実際に避難所で起こった問題を用いたワークショップで、他者と共に生きる上で必要な視点とは何かを学びました。
就寝前の振り返りでは、報徳学園の生徒たちと和気あいあいと意見交流を行いました。この2日間の経験から「人を救うのは人」、「知ること、伝えることは自分たちの使命である」という感想も見られました。
明日は最終日です。福島の高校生と交流し、さらに学びを深めていきます。